***ショートストーリー …… 「君が王になった理由」

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僕は王になんかなりたくなかった。
なんですべてを捨ててまで、
この世界を担わなければならないのか。


でもこうであるべきなのだと、言った。彼が。



それから数年。
僕は王としてこの世界に君臨している。

最初は嫌だった王のローブも、
今ではそれなりに着こなせている気がした。


――それは王の証。


それを見て人々は、一目で認識をする。
僕を王だと。



「髪、のびましたね」

じいやは僕を見て言う。

「切るの…めんどくさかったし」

僕はじいやを鏡越しに見て答えた。
じいやはいつものようににっこり微笑んだままだ。


「…そうしていると、よく似ておいでです」

「……誰と」

「…貴方の、お父様に…です」

「………」






僕が髪を切ったのは、その翌日だった。



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ショートもショートすぎるぞと突っ込みは心の中にしまっておいてください。
しかも全然題名にそぐわぬモノでございます。
でも…彼が王になった理由の断片をちらほらと。
すごくありがちな感じですね。

19歳という若さで王として君臨しているのは、理由、がある。